チェンソーによる嵐後の障害物除去 – 自然の脅威が襲ったときに安全を維持する方法

嵐の影響を受けたエリアの障害物除去は、チェンソーを使用する作業の中でも最も危険な作業の 1 つです。統計的に見ると、実際の嵐のときよりも、障害物を除去する際に多くの負傷事故が発生しています。スタークビル消防署の Woodman Speights 氏とその同僚は、いつでもチェンソーを手にして作業を行う準備を整えています。嵐に関連した直近の作業では、緊急事態に対応した障害物除去作業が極めて重要となりました。ある家族の家に向かって、大きなオークの木が倒れたのです。

「家の屋根を突き破って大きな木が倒れてきたという通報を受けました。しかし現場に行くには、いたる所に倒れている木々を道路から除去しなければなりませんでした。

Speights 氏率いるクルーは、チェンソーを使用して道路から障害物を除去しました。このときの業務は、電気火災、落下した電線、障害物など、いくつかの困難を伴うものでした」

「最も重要なのは、落ち着くことです。考えずに行動すると負傷します。考えないと、負傷を招く非常に悪い状況が生じるのです」と Speights 氏は語ります。

切断した大きな枝や障害物の除去を手伝ってくれたボランティアのおかげで、最初の場所の除去作業は 30 分で終わり、消防士は家に入ることができました。このときに消防士たちが目にしたのは、巨大な木の枝葉が玄関を完全に塞ぎ、家族が上の階の寝室の 1 つに閉じ込められている状況でした。

「私たちは枝に力がかかっていないか確認することから始めたのですが、力はかかっていませんでした。そして、枝を切断し、家族の抜け道を開いたのです」

「最も重要なのは、落ち着くことです。考えずに行動すると負傷します」

チェンソーユーザーの同業者のための、嵐の後の障害物除去に関する最も重要なアドバイスとは何でしょうか。

「状況に対処できない可能性が少しでもあるときは、作業をしてはならないということを忘れないでください。十分な設備が整っていない、または十分な経験がないと感じた場合、そしてまったくの緊急事態ではない場合は、専門家に任せるべきです」

嵐の後の障害物除去に関する、専門家からの 7 つのアドバイス

1.適切な装置を手にする

チェンソーを操作するときは、適切で安全な防護衣を着用する必要があります。また、チェンソーの安全機能を定期的に確認して、期待どおりの機能が発揮されるようにする必要があります。救急用具、追加の燃料とチェンオイルも用意してください。

そして、チェンソーを使用する作業で最も考慮しなければならないのは、同僚のことです。1 人での作業は避けてください。

「通常は、チームに具体的な作業を割り当てる指示者がいます。また、ボランティアの人たちが手伝ってくれる場合もよくあります。チェンソーの音が鳴り響いているときは聞き取りが難しいため、作業開始前に関係者全員で十分にコミュニケーションを取っておくことが重要です」と Speights 氏は述べています。

2.作業の計画を立てる

嵐に見舞われたエリアに近づく場合は、時間を取って状態を把握してください。木々の枝葉の中に電線や障害物がありませんか。木に力がかかっていたり、根から抜けた状態の木々はありませんか。目の前の状況をよく確認せずに作業にかかるべきではありません。また、何かが起きた場合に備えて、避難経路を計画しておくことも非常に重要です。

「除去作業中に急がなければならないのは、木が自分に向かって倒れてくるのを見たときだけです。そのときは、ソーを手放して急いで避難経路に向かう必要があります」と Speights 氏は述べています。 

3.力がかかっている場所の切断

嵐の後の障害物除去作業でよく起こる問題は、倒木にかかっている力です。力がかかっていると、木を切断するときに予想外の動きを引き起こし、枝が飛び上がってけがをしたり、装置に当たったり、幹が動いて身動きが取れなくなることがあります。

Speights 氏は、力がかかっている倒木の対処方法について、次のように説明しています。

「まず、小さな枝をすべて切り落として、状況をよく把握できる状態にします。その後、できるだけ荷重を取り除いてから、力がかかっている枝を切断します。力を少し緩めるために、力がかかっている側を少し切断し、制御できる状態を保ちながらゆっくりと、さらに 3～4 箇所を小さく切断して、力を完全に除去します。重要なのは、ゆっくりと段階的に行うことです」

これは、トレーニングを受けた専門家だけが行うべき危険な作業です。

過度の力がかかっている場合：圧力側を開く

円弧の内側（圧力側）のみをソーで切断する状況です。開度が大きい、矢印のような切り欠きを設けます。力が解放され始めるまで、ソーで一度に少しずつ両側を切断します。良好な制御状態で意図した方向に力が緩和されます。キックバックを避けるため、ガイドバーの先端に注意してください。

中程度の力の場合：逆側に切り欠きを設ける

1. 曲がった幹の円弧の内側に、幹の厚さの約 1/3 を残して、矢印のような切り欠きを設けます。
2. 円弧の内側はそのままの状態で、幹が壊れるまで、円弧の外側から切り欠きの中心部に小さな切り込みを数ヵ所入れます。

4.傾いた木を倒す

まず、傾いた木を倒すことから始めます。木の根はおそらく変形し、その位置は不安定になっています。そのため、木が倒れるエリアを絶対に歩かないでください。木は、後ろに追いづる切りを入れて倒すか、急傾斜している側に V カットまたは深めの V カットを入れて倒します。木はその後、倒れているときに根株から離れることなく、割れたり何かにぶつかることもなくゆっくりと倒れます。

5.先端部がぶら下がった状態の木を倒す

家族が家に閉じ込められる。作業中に真っ直ぐ自分に向かって木が倒れてくる。Speights 氏は、頻繁に嵐に見舞われるミシシッピ州の消防士として、過酷な条件の中でチェンソーを使用する作業の経験が豊富です。嵐の後の除去作業のような危険な作業は、トレーニングを受けたプロが行うべきものです。「いくつかの深刻な損害を目にしたことがありますよ」と、Speights 氏は語ります。

1. まず、上側を伐採して回しやすくします。
2. 木廻し用フックや木廻しベルトを使用して折れた部分を反転させて下ろすか、機械を使用して引いて、離します。
3. そして、高い根株を通常の方法で倒します。ただし、丸太はすぐに落下して元口で跳ね上がったり、不規則に転がる場合があるので、注意してください。

6.根から抜けた倒木の処理

根が自分の方に向かって跳ね返る何らかのリスクがある場合は、大きな根が抜けた風倒木を元口で切断することは絶対にやめてください。木全体をチェンソーで処理する必要がある場合は、末口の方から作業を始めるのがベストです。こうすることで、根にたどり着くまでに力が除去されます。木の枝払いから始めると、幹に力がかかっているかどうかを簡単に確認できます。

次に、最初の丸太の長さを上部から末口側から測定し、そこで丸太を切断します。または、元口からできるだけ離れたところで切断して、根が跳ね上がらないようにします。グラップルローダーまたはウインチを装備したトラクターを使用して、根から抜けた高い根株を元の位置に戻します。

警告：幹が切断されている場合は、根から抜けた木を立った状態で放置しないでください。木を完全に倒しておかないと、通りがかった人に向かって倒れて、重傷や死亡事故を招くおそれがあります。

根から抜けた木が倒れるおそれがない場合は、根を手作業で切断してから、機械による伐採搬出を行う必要があります。また、幹が跳ね返る場合に備え、安全な位置で作業を行ってください。

幹の根を切断すると、大きな力で横に動く場合があります。そのため、避難経路に障害物などがないようにしてください。根から抜けた木を左側にして立ち、右側に向かうように幹（幹から 0.5 m 上側の部分）を切断します。このとき、切断したときに幹が横に跳ね返る場合に備え、脚の保護具を着用します。

7.先端部がぶら下がっていない状態の木を倒す

折れた木や高い根株は、通常の木のように通常の方法で倒します。ただし、丸太はすぐに落下して元口で跳ね上がったり、不規則に転がったりする場合があるので、注意してください。